2020年までに約100コース開場の見込み

日本はゴルフ場が減少する時代に入ったが、経済成長著しいベトナムでは事情が180度違う。

ベトナムには約40のゴルフ場があるが、現在計画されているものがすべて完成すれば、2020年には約100コースにまで増えるという。南北に長く3,400キロにも及ぶ海岸線を持つ彼の国では、今まさにビーチリゾートの開発ラッシュが起こっており、それに付随する形で本格的なシーサイドコースが続々とオープンしているのだ。

しかも、お隣にゴルフツーリズムで成功しているタイというお手本があるだけに、ハード面、ソフト面で充実しているコースが多い。

まず、コースはジャック・ニクラスやグレッグ・ノーマンはじめ著名なコースデザイナーによる難易度や美観に優れた設計が多い。新しいコースが多いためクラブハウスなどの施設もモダン。欧米から招いたゼネラルマネジャーを置いているケースが多いことから、オペレーションやコースメンテナンスは一定の水準がキープされている。最後にキャディについては、多くの東南アジア諸国と同様、プレーヤーに1対1で付くスタイルだが、新しいコースが多いためかキャディスキルや英語でのコミュニケーション能力にはかなり個人差がある印象。しかし、真面目で人懐っこさもある国民性はキャディ向きといえる。適切なキャディ教育が施されれば、一定レベルに達するまでにそう時間はかからないだろう。

それでいて料金は、年々相場が上がってきているタイに比べてリーズナブル。今まではベトナムでゴルフといってもピンとこない人が多かったかもしれないが、ゴルフ旅行の目的地として今後は要注目の国なのだ。

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人懐っこい笑顔のキャディさんたち。会話はカタコト英語でどうにか、という感じ。もう少し頑張ってくれるとなお良い

 

 

 

ゴルフ場開発に1000億円を投資

前置きが長くなったが、記者が今回向かったのはベトナム中南部の町クイニョン。ホーチミンで国内線に乗り継いで1時間。そこからさらに車で50分と、日本から行くにはなかなかに大変だが、苦労してたどり着いたそこには度肝を抜くスケールの光景が広がっていた。

 

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クイニョン空港は現状国内線しかないので、だいぶのどかな感じ

 

そこにあったのはFLCクイニョンビーチ&ゴルフリゾート。東京ドーム約40個分(約184ヘクタール)の広大な敷地にゴルフ場(FLCゴルフリンクス・クイニョン)、323室の5ツ星ホテル、90棟のリゾートビラ、その他レストラン棟、スパ棟などをゆったりと配した豪華巨大リゾートだ。

 

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大きなプールを備えたビラのテラスは最高にくつろげる。ラウンド後のビールが五臓六腑(ろっぷ)に染み渡る。ちなみにおすすめの銘柄は「ラルー」

 

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リゾートビラの寝室はゆったりスペースにキングサイズのベッドがドーンと鎮座

 

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バスルームには、なんか高そうな木でできた大きなバスタブがこれも中央にドーン! 日本人にはラウンド後の最高のご褒美ですな。そこに冷えたビールがあればいうことない。ちなみにおすすめの銘柄は「ラルー」

 

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最大宿泊人数の8名がゆったりくつろいでもおつりがくる、日本の基準からいったらもはや広大といってもいいリビングルーム。これって何畳になるんだろ? ウチのリビング何個分だろ?

 

ここを開発したのはFLCグループという名の首都ハノイに本拠を置く国内企業。マンションやショッピングセンター、工業団地など、主に不動産開発で急成長してきたが、ここにきて本格的にリゾート開発に着手。クイニョンはサムソンに続き2つ目のゴルフリゾートとなる。

このFLCグループ、既に完成したものも含め5~7年後までに20コースのゴルフ場をオープンさせ、総額10億米ドル(約1000億円)を投資するというからすごい。2017年の早々には世界遺産で知られるハロン湾を望むコースが完成予定。さらには中北部のクァンビン県に10コースを擁する巨大ゴルフリゾートの建設が控えている。ここにはコースサイドのリゾートビラを1,000棟建てる予定で、不動産投資に沸くベトナムの旺盛な需要を反映しているようだ。

 

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FLCグループのチン・ヴァン・クェット会長。一代で巨大不動産グループを築き上げた立志伝中の人物

 

 

 

ニクラス設計の本格的シーサイドコース

さて、肝心のゴルフコースのほうはというと、ジャック・ニクラス設計で総距離7,240ヤードのチャンピオンコース。バックナインはすべてのホールから海が望める本物のシーサイドコースだ。

 

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バックナインはすべてのホールから海が望め、シーサイドコースの醍醐味(だいごみ)にあふれる

 

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バックナインはナイター設備も備え、潮騒の音を聞きながらのナイトゴルフとしゃれ込むのも可

 

スコットランドのリンクスと同じデューンズと呼ばれる緩やかなアンジュレーションを持った砂地で、地形的にはゴルフ場の最適地。リゾートらしいリラックスした伸びやかさを持ちつつも、広大なウェイストエリアを設けるなどジャックらしいタフさも随所に感じられる。海沿いならではの風や日本人が慣れないパスパラムの粘っこい芝にも手こずらされる。リゾートで気持ちよくプレーしたいが、まったく歯ごたえがないのも嫌だというワガママな人にもおすすめだ。

 

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至るところにウェイストエリアが点在。バンカーではないのでソールはできるが、ここにハマると脱出は困難

 

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デューンズの地形を生かした緩やかな起伏があり、平坦な場所から打てることはまれ

 

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グリーンにも日本のコースではなかなかお目にかかれないアンジュレーションや落差があり、遠くに乗せれば4パット、5パットも

 

造成しやすい砂地とはいえ、これだけの手の込んだコースをたった5か月で作り上げたというスピード感には心底驚かされる。ここにもベトナムのゴルフ、そしてリゾート開発への高い熱量が表れているのではなかろうか。今後、ニクラス設計の18ホールに加え、シュミット・カーリー社設計の18ホールも近日中に開場予定で、36ホールのさらに魅力あるゴルフリゾートとして完成する。

参考までに1ラウンドのプレーフィは75米ドル~、宿泊付きのプランは125米ドル~である。正直にいって、現状のアクセス事情では日本から行くのはなかなかハードルが高いのは事実だが、数年中には国際線を誘致する計画があるようなので、その際には検討してみてはいかがだろう。その前に、来年オープン予定のハロン湾が狙い目だと、個人的には思っているが……。

 

 

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ホテル前のプールはベトナムで1、2を争う規模を誇る。ベトナムの水着美女との出会いもあるかも!?

 

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見栄えはいいけど味は…というリゾートホテルにありがちなパターンではなく、ちゃんとおいしいメーンダイニングの料理

 

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筆者らが泊まった4ベッドルームのリゾートビラ。こちらは2階建てだが平屋のタイプもあり。ちなみに日・中・韓・香港の4人で宿泊。なんか微妙な関係にあるとされる4つの国と地域ではあるが、庶民にとってはどうでもいいこと。一緒にラウンドし、酒を酌み交わし、各々の国が、ゴルフ界が、メディア業界が抱える問題について語り合った。僕のつたない英語では言いたいことを伝えるのに苦労したが、それでも楽しかったな~。